How To Become A Rockstar Photographer


コンサート撮影を始める人のために 〜限られた予算内での機材選び〜 

This article is originally written by Matthias Hombauer who is a rock photographer based in Austria. 

I am authorized to translate this article into Japanese. 


オーストリアのロック・フォトグラファー Matthias Hombauer 氏から、日本でコンサート写真を撮影している方、また撮ってみたいと思っている方の活動支援のため自分のブログを紹介してほしいと依頼を受けまして、公式HPよりブログを翻訳いたしました。

Matthias氏は現在もThe Rolling StonesやIggy Pop、Red Hot Chili Peppersなど世界的に有名なミュージシャンを精力的に撮影しています。

私も長年、写真雑誌や写真に関する書籍などには目を通してきましたが、コンサート撮影に関するものはあまり見た事がありません。撮影の仕方だけではなく、フォトピットでのエチケットや、ロゴの作成のコツなど、目から鱗の情報を沢山書いて下さっています。

これから何回かに渡って翻訳してアップしていきますので、是非読んでみて下さい。

興味を持った方は、最後に元のブログへのリンクを貼ってあります。Matthias氏のポートフォリオなどもそこから飛べますので是非見てみて下さい!

〜以下翻訳文〜



このブログでは、コンサート撮影の初心者に必要な機材を説明して行こうと思う。 

コンサートフォトグラファーが巨大なレンズをつけた2台のカメラを下げているのを見た事がある人も多いと思う。だがあなたがまだ撮影を始めたばかりならば、こんな高価な機材は全く必要ない。例えこれがプロにとっては通常の機材だったとしても。 

あなたのコンサート撮影のキャリアを新しく築き始めるのにどんな機材が必要なのか、一緒に考えて行こう。 


デジタル一眼レフカメラ


さあ、始めよう。あなたが必要としているカメラは、デジタル一眼レフカメラ、略して一眼レフだろう。 

一眼レフの内部では、光はレンズを通過して、ミラーに到達し、ミラーに連動して映像を光学ファインダーに映したり、撮像素子(センサー)に当てたりと切り替わる。最もプロが多く使用しているのを見かけるのはこのタイプのカメラであるし、今の時点において、コンサート撮影で使用するのに相応しい唯一のカメラシステムである。(近い将来に変わるかもしれないが) 


このシステムの長所は、焦点距離や開放絞り値の違う多様なレンズを揃えられることだ。狭いステージの真正面での撮影時に活躍する超広角レンズも選べるし、大きなスタジアムで30メートル先のローリング・ストーンズを撮影する時の500mmレンズを手に入れる事もできる。欠点はこれらのカメラにつけられている値段だ。値段の幅は2~3万円から数百万円にもなる。 

ニコンとキヤノンが未だ業界のリーダーであり、多様なレンズを展開している。この状況からして、これら2つのうちのどちらかのブランドを選んだほうが良いだろう。 

キヤノンに忠誠を誓う人達がいる一方で、私自身はニコンを使っている。自分が最も使いやすいと感じるブランドを選ぶようにすること。違うカメラボディーやレンズの種類、付属品を見てみることが大事である。 

あなたの知り合いはどちらのブランドで撮影しているだろうか?あなたが撮影を始めたばかりなら、彼らはレンズを貸してくれるかもしれないし、質問にも答えてくれるかもしれない。 

一度一つのシステムに決めたら、それに固執するように。システムの変更は莫大な金額が掛かるし、賢いお金の使い方ではない。 


コンサート撮影のための初めてのデジタルカメラ


今すぐにでもコンサートに出かけたいことだろう。だったらそれ以上思い悩まないで、良い一眼レフを手に入れろ!どちらのブランドを選ぶかは関係ない。私はニコンユーザーだけれども、もちろんキヤノンユーザーもいるし、ソニーユーザーもいる。ニコンとキヤノンが市場の二大企業で、多様なレンズ展開をしている。地元のカメラ屋さんに行ってみて、幾つか手に取り、どのカメラボディーが自分の手に一番フィットするか確認しよう。

Tv On The Radio Canon 40D 50mm@f1.8 1/250sec ISO 3200


APS-C機


写真を始めたばかりの時にまず手に入れたいのはAPS-C機だろう。私が写真を始めた頃、デジタル写真に関して、APS-C機vs.フルサイズ機の論争をたくさん耳にした。私もこのことに決着をつけるまで、しばらく時間がかかった。このカメラの技術論争に戸惑っている人も多いようなので、私が説明しておこう。 


では、古き良きアナログの時代に戻ってみよう。35mmフィルム(あなたの両親が休日に写真を撮ってくれた時に使っていた、小さいロール状のフィルム)用のアナログカメラは、1コマ実寸24mm×36mmのネガフィルムを使用する。

この大きさは、光がカメラを通り、フィルムに到達するまでの開口部の大きさに起因している。この24mm×36mmはフルサイズのデジタルカメラのセンサーサイズと一致する。APS-C機ではセンサーのサイズがフルサイズより小さい。またはフルサイズ機でクロップモード(APS-C機と同じセンサーサイズ面積を使う)というものもあるが、この記事では、初心者のために限られた予算内での機材選びについてのみ語りたい。したがって、APS-C機のみに話を絞ろう。(今の時点であなた方は50万円以上もする機材を買いたくないだろう) 


長所:  

  ⚫APS-C機は比較的安いので、レンズ付きで数万円で購入することができる。  

  ⚫APS-C機専用のレンズ群も比較的安い。  

  ⚫カメラ本体が軽く、小さい。 


 短所:


  ⚫センサーサイズが小さいため、写真に現れるノイズが顕著である。また常用ISO感度が低い。 


カメラの常用ISO感度はコンサート撮影の鍵になるので、設定できる感度の上限が少なくともISO6400あるAPS-C機を買う事をお勧めする。ステージのライティングの暗さに直面すると、高いISO感度に設定する必要に迫られるだろう。感度を高くセットするとカメラのセンサー温度が上がり、画像にノイズが多く現れるようになる。ほとんどの場合、低照度のコンサート撮影において適切なシャッタースピードを得るために、気がつけば少なくともISO感度を1600以上に設定していることだろう。撮影後の編集作業でノイズを減らす方法はあるが、ISO感度はなるべく低く保つよう心がけよう。 


APS-C機は大体キットレンズとのセットで入手する事が可能だ。大体18-55mm F3.5-5.6のようなスペックのレンズ付きで妥当なカメラボディーを購入できる。このタイプのレンズは、旅行や屋外での誕生日パーティーなど“日常”の撮影には良いが、コンサート撮影には全く使い物にならない。したがって、キットレンズを使い続けているうちに、新しいレンズが欲しくなってくるだろう。もしくはもっとお金を貯めて、ボディー単体での購入を選ぶという方法もある。

 

もう一つだけ:50mmレンズ(焦点距離はレンズに明記されている)はAPS-C機のボディーに装着すると、もはや50mmではない!今まで写真を学んでいる学生を相手に多くのワークショップを開催してきたが、ほとんど彼らはこの事実を知らなかった。そこで私が説明しよう。 

もし50mmレンズをAPS-C機に装着する場合、焦点距離をAPSの倍数で掛け算する必要がある。これは例えばキヤノンなら1.6 (50×1.6は80mm)、ニコンなら1.5である。したがってあなたが50mmだと思って持っていたレンズはカメラに装着すると80mmになる。混乱した?更に面白い事には、APSセンサーの大きさは、ニコン、キヤノン、ソニー、ペンタックスとメーカーにより全て違っている。しかし一般的には大体同じような焦点距離になる。


何故このことが重要なのだろうか?APS-C機に付ける広角レンズを購入したいとしよう。そこで35mmレンズを選ぶかもしれないが、これはAPS-C機に装着した時に50mmの標準レンズへと変わってしまう。したがってAPS-C機に35mmの焦点距離のレンズが欲しければ、24mm(24×1.6は38mm)のレンズが必要になる。レンズを購入する時にはこの事を覚えておいてほしい。 


コンサート撮影のための初めてのレンズ


コンサート撮影を始めたばかりだったら、もちろん予算に限りがある。そこで安くて、低照度下で絞り開放にセットした時に手腕を発揮する、50mm f1.8の単焦点レンズをお勧めする。(このレンズは全てのメーカーで買えるし、頭を悩ます必要がない!) 

このレンズはプラスチック製で、小さく、軽く、目立たない。ステージがほとんど真っ暗で、ライティングの技術者がもしかして寝ているんじゃないかと思えるような時、何度もこのレンズは私を救ってくれた。小さなステージでは、ヴォーカリストの顔写真やドラマーの全体写真(ステージの大きさに依る)を撮るのに、50mmレンズは良い解決策である。 

“だけどズームレンズはどうなの?全ての焦点距離を一つのレンズでカバーできる。コンサート撮影に完璧じゃないの?何故単焦点レンズを買うべきなの?” と尋ねる人もいるかもしれない。 


Atari Teenage Riot Nikon D700 50mm@f1.8 1/2500sec ISO1600


つまりこういう事だ。 カメラについてくるキットズームレンズは絞りの開放値が大きい。例えば絞りがf5.6のレンズを使うと、(f1.8に比べて)レンズを通して入ってくる光が少なくなり、使えるシャッタースピードが遅くなる。私の経験からして、コンサート撮影には少なくともf2.8の絞りが必要である。したがってコンサートフォトグラファーとしては、安いズームレンズは選択肢に無い。F2.8のズームレンズもあるが、高価であるし、コンサート撮影の初心者だったら、投資する必要は無い。 

“ATTENTION!!” 

50mmレンズはAPS-C機に装着すると80mm相当(例:50mm×1.6 キヤノンの場合)になる。標準の焦点距離を失うことになるが、始めたばかりであれば、全く問題無い。もし、既に50mm f1.8のレンズを持っていて、広角のレンズが必要だと感じるならば、35mm f1.8(APS—C機において、50mm)のレンズをチェックしてみよう。 


[Credit] 

Original article and pictures: Matthias Hombauer 

Translation: Aki Fujita Taguchi 

Proofreading: Yosuke Taguchi 

Check the original article! Click the link below!

A.F.T.Photography

Official website of Aki Fujita Taguchi, a concert photographer