How To Become A Rockstar Photographer
コンサート撮影のセッティング 〜ビギナー編〜
This article is originally written by Matthias Hombauer who is a rock photographer based in Austria. I am authorized to translate this article into Japanese.
コンサート撮影において適切なセッティングをすることは、小さくて暗い会場で素晴らしい写真を撮るために欠かせないポイントだ。残念ながら、カメラにあるオートモードでは上手く撮れない。この時点でビギナーはコンサート撮影への道を断念してしまう。
今回の記事では、私の基礎的なコンサート撮影のセッティングの幾つかを紹介しよう。また、これらの技術があなたのコンサートフォトグラファーとしてのキャリアを直ちにレベルアップするのを助けると約束しよう。 さあ、ではさっそく見て行こう。
ビギナーのためのコンサート撮影のベストセッティング
St. Vincent, Nikon D800, 100mm@f2.8, 1/400sec, ISO1600
1) 絞り優先で撮る(AV,A)
絞り優先モードでは自分が使いたい絞りに設定すれば、それに応じたシャッタースピードにセットされる。私は何年もこのセッティングにしていた。何故か?
初めてコンサートを撮影する時は、周囲の状況に気を取られることが多いだろう。カメラの便利さを受け入れて、本来の仕事に集中しよう。
2) レンズの絞りは開放で撮る
“大口径のレンズを使い、開放で撮れ”。この言葉をあなたもコンサートフォトグラファーから耳にする機会があるだろう。
ステージの低照度の状況では、絞りをレンズの一番小さな数字、例えば f1.8や f2.8(開放絞り値を示す)にセットするのが極めて重要だ。こうする事で、可能な限り最大の光をセンサーに導ける。コンサート撮影において不可欠なセッティングの一つである。明るいズームレンズの絞り開放値が f2.8なのに対して、最も明るい単焦点レンズの絞り開放値は f1.4や f1.8である。
予算に限りのあるビギナーには、50mm f1.8の単焦点レンズを強くお勧めする。コンサート撮影においてあまり考える必要がないからだ。
この事についてもっと知りたい方はこちら
Fink, Nikon D800, 38mm@f2.8, 1/200sec, ISO1600
3) 速いシャッタースピードで撮る
ステージの端から端へ走り回るようなアーティストのライブに行った事があるだろうか?速いシャッタースピードを使わなければ、このような動きを止めて写せない。
通常、私はシャッタースピードを1/200秒かそれ以上の速さにセットする。さもなければ、写真がブレてしまう恐れがある。椅子に座ってほとんど動かないようなシンガーを撮影するのならば、1/60秒などのもっと遅いシャッタースピードを試してみてもいい。
動感のある写真をあえて好む人達もいるが、被写体の動きを止めた状態を写すのが私の写真のスタイルである。したがって、速いシャッタースピードが私の撮影のセッティングの一つとして欠かせない。
4) 高感度で撮る
カメラを高感度に設定しよう。ISO表記はアナログフィルムの感光度に由来するが、現在ではデジタルカメラのセンサーの感度として使われている。
最初はISO1600にセットしてみよう。一枚試しに撮って、背面液晶モニターを見てみよう。画像がブレているだろうか?それならば、シャッタースピードが遅すぎるということだ。(もし可能であれば)ISOを3200に上げて、もう一度試してみよう。
ただこれを心に留めておいて欲しい。ISOを高くセットするほどカメラのセンサーが熱を持ち、写真にはより多くのノイズが現れる。したがって、コンサートを撮影する時はISOの設定を可能な限り低くするよう心がけ、必要に応じて上げて行くようにしよう。
Atlas Losing Grip, Fuji X-T1, Fujinon 23mm@f4.5, 1/180sec, ISO 1600
5) スポット測光で撮る
カメラの測光方法をスポット測光に設定する。
スポット測光は光学ファインダーの中の非常に小さな限られた部分の光を測定する。コンサートを撮影する時、アーティストはスポットライトで照らされているが、ステージの残りの部分はほとんど暗闇、という状況がよくあるだろう。 スポット測光使用時は、光学ファインダーの中央にアーティストの顔がくるようにすると、正しい露出が得られる。
マルチパターン測光(ニコンの場合。キヤノンでは評価測光)を使用した場合、カメラは画面の中のいくつかのポイントを拾って測光するので、背景が暗い場合、おそらく顔は露出オーバーで真っ白になってしまうだろう。
6) ホワイトバランスはオートで撮る
何故ホワイトバランスをセットしなければいけないのかというと、写真の色を出来るだけ正確に表すためである。
皆もよく知っているように、コンサート撮影では光の状況は瞬時に変化していく。もちろんホワイトバランスをカメラにあらかじめ登録されている色温度に変えてもいい。しかし、私は自分のコンサート撮影のセッティングの一つとして、ホワイトバランスはオートにして使用している。後の画像処理でホワイトバランスを変えることも可能だ。
Bonaparte, Nikon D800, 85mm@f2.8, 1/200sec, ISO3200
7) オートフォーカスで撮る
ライブ撮影はどんなセッティングをするべきかと、私は色んな人からよく質問される。その中の一つに、オートフォーカスで撮るべきか、マニュアルフォーカスで撮るべきか、というものがある。
私は古いアナログカメラで撮影するのが大好きだし、ハッセルブラッドやマミヤのカメラでマニュアルフォーカス撮影するのには全く苦労を感じない。しかしデジタルカメラで同じ事をしようとするとそうはいかない。
したがって、初めてのコンサート撮影においてマニュアルフォーカスで撮影するのは絶対にやめたほうがいい。非常に低照度の状況ではオートフォーカスも上手く働かないかもしれない。しかし、キヤノンとニコンを信頼し、あれこれ考えずにオートフォーカスにセットしよう。
8) JPEGで撮る
JPEGで撮影するということは、カメラ内で既に現像処理しているという事を意味する。したがって、後で現像処理する必要がない。このフォーマットには幾つか欠点があるが、最初の段階では、とりあえず十分だ。
何故私がRAWを勧めないかって?一応念のために言っておくと、私は常にRAWで撮影している。しかし、始めたばかりの頃は皆PhotoshopやLightroomでRAWデータを画像処理するのには慣れていないだろう。初めから成功した感じを掴み、モチベーションを高く持ち続けて欲しい。だから、まずJPEG、RAWは後からで十分だ!
Dillon, Nikon D800, 70mm@f2.8, 1/200sec, ISO 6400
9) 連写モードで撮る
連続撮影(連写)モードにセットしよう。すると高速で連続して3〜4枚撮影できる。(各機種の1秒あたりに撮影できるフレーム数によって違う)
4枚のうち、3枚はピンボケだったとしても、少なくとも1枚はしっかりとピントがあっている可能性が高い。これはコンサート撮影において必ずしもというセッティングではないが、初めの頃私は何度も助けられた。
10)(決して)フラッシュを使わない
通常コンサート撮影において、フラッシュの使用は許可されない。10人ものフォトグラファーが同時にフラッシュを焚く事を想像してみよう。アーティストにとって極めて迷惑だろうし、そのためフォトピットでの“ノーフラッシュ”の規則が作られたのだろう。
その場の光のみで撮ることは、コンサート撮影を学ぶ上で非常に有効だ。
しかし、低照度の小さなクラブではフラッシュの使用が大いに力を発揮する事もある。私は最近スウェーデンのパンクメタルバンド、Atlas Losing Gripのツアーに同行していた。フラッシュを使う事でステージでのジャンプを止めて写すことができ、思いがけない素晴らしい出来映えに驚いた。
先に述べたように、通常はフラッシュの使用を勧めないが、もしバンドがあらかじめ使用を許可してくれているのであれば、試してみると良い。
Moderat, Nikon D800, 24mm@f2.8, 1/200sec, ISO6400
おめでとう、以上でビギナーのためのコンサート撮影のセッティング10条は修了だ!
この10のセッティングに従わなければいけないわけではない。しかし、これらは私のポートフォリオを作るのに大いに役立ち、そして現在のミュージックフォトフラファーとしての私の土台になっている。もちろん、あなたがコンサートフォトグラファーを目指す上で大いに役立ってくれるだろう。
これらのコンサート撮影のセッティングを覚えておけば、たとえ始めたばかりでも、素晴らしい写真を撮れるだろう。さあ、このコンサート撮影のカメラセッティング10条をプリントアウトしてチェックリストにし、次のコンサートに持って行こう!
[Credit]
Original article and pictures: Matthias Hombauer
Translation: Aki Fujita Taguchi
Proofreading: Yosuke Taguchi
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